昨春、シカゴ大学医学部に移籍された中村祐輔さんにとって10月3日から5日まで横浜で開催された 「日本癌学会」会長の大役が日本での仕事納めとなりました。 かねて「がん研究を研究の為の研究に終わらせるのではなく、患者さんの希望に繋がる研究でなければならない」 と訴え実践されてきた中村さん。この学会でも、国家的な課題に対応するためには、患者、医療従事者、 研究者、企業、行政が一体となってがん対策に取り組むことが重要だと会長自ら強く訴えられました。
最終日、中村さんが司会をされる「市民公開講座」に広報委員が、参加して参りました。 「患者に優しいがん治療」というテーマで現場の先生方からの報告を聞くことが出来ました。 (詳細は、パンフレットや下記のHP参照。12月以降、動画が公開されます。)http://www.jca.gr.jp/public/course/index.html
今回発表者であった奥野清隆先生(近畿大学外科教授)からは、副作用の少ない「第4のがん治療」として 期待の大きい「ペプチドワクチン治療」が大腸がんの再発予防にも使える可能性があると紹介され、 中村さんからは「多くの論文で低用量アスピリンが大腸がんの予防効果を証明している。」など興味深い最新情報も紹介されました。 「外科医だった当時、一緒に手術をした奥野先生とは深夜にがん論議で熱く語り合った。 「免疫」を主張したのが奥野先生。「ゲノム」を主張したのが私だが、今は、免疫とゲノムが融合した研究が 進んでいる」と中村さんが感慨深く話されたのが印象的でした。がん予防・診断・治療の大きなパラダイムシフトが 今まさに起きている現実に大きな希望を託したいと思いました。
ご帰国前中村さんから「これで日本との縁は遠くなりますが、日本人の遺伝子を忘れず、頑張ります。」 のメッセージを頂きました。アメリカでのご活躍を期待したいです。 中村さんからは、「シカゴの美しい風景写真」を送って頂きました。
撮影は中村さん御本人です。